子宮頸がんについて 知っていますか?
子宮頸がんは、子宮の入り口部分(子宮頸部)にできるがんです。
日本では年間約10,000人の女性が子宮頸がんと診断され、年間約2,900人の女性が亡くなっています。
子宮頸がんを発症した30代の女性では、年間約1,000人が子宮を全摘出しており、約1,000人が子宮の入り口を部分切除する円錐切除術を受けています。
子宮を全摘出すればもちろん妊娠をすることができなくなりますが、部分切除を行うことでも、切迫早産になりやすくなったりと、妊娠経過に影響を与えます。
子宮頸がんの発症年齢は20代後半から多くなり、30代後半から40代で最も多くなります。
また、10代でも発症している方もいるのが現実です。
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)です。このウイルスはとてもありふれたウイルスで、約200種類ほどの型があります。
低リスクの型だと、良性のイボが性器や肛門周囲にできる尖圭コンジローマという性感染症を発症させるものもあります。
その中でがんの原因となる型は16型と18型が約65%をしめていて、これ以外にも約10種類の型が、がんを発症させる高リスク型となります。
海外の報告では、異性との性経験のある女性の84.6%、男性は約90%が一生に一度はヒトパピローマウイルスに感染すると推計されています。通常は、感染しても自然に排出されるのですが、長い間感染が続いた場合、細胞が少しずつがん細胞へと変化していくことがあります。
子宮頸がんの初期症状は、ほとんどの場合自覚症状がないため、気づいた時には進行していたというケースが少なくありません。なので、早期発見のためには定期的に子宮頸がん検診を受けることが重要です。
子宮頸がんを予防するための、ワクチンが公費で受けられます
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、定期接種のワクチンです。
小学6年生~高校1年生相当の女の子は、公費(自己負担なし)で接種することができます。
海外では、男の子も定期接種の対象となる国が増えてきており、日本でも東京の一部の地域では公費ではないのですが、補助金がでます。
ヒトパピローマウイルスの感染経路は性交渉がほとんどであり、性器や肛門周囲に存在していることが多いため、避妊具を使用していても感染をします。
そのため、性交渉を経験する前にワクチンを接種することが望ましいですが、性交渉を経験したことのある方の接種は意味がないわけではありません。ワクチンによる予防効果が認められているため、現在キャッチアップ接種も行われています。
2024年1月時点では、140か国以上で公的な予防接種が行われています。
カナダ、イギリス、オーストラリアなどの接種率は8割以上です。アメリカは6割。
そんななか、日本の接種率は2割もいません。そして年齢標準化発症率もG7の中ではワースト1位!
ワクチン接種率が高い国の子宮頸がん発症率はどんどん減っていますが、ワクチン接種率の低い日本の子宮頸がん発症率はどんどん増えているのです。
子宮頸がんワクチンによる有害事象について
なぜ、こんなに医療が発展している日本なのに、こんなに子宮頸がんの発症率が高く、年間3,000人も亡くなっているのでしょうか?
その理由の1つに、子宮頸がんワクチン接種後に、手足のしびれや、痛み、記憶力の低下等が生じた女性の報道が2013年に大々的にメディアで報じられ、子宮頸がんワクチン=危険 というイメージが日本国内で広がってしまいました。
しかしその後、国内外の様々な研究により、ワクチンを接種していない人でもこれらのような症状は、ワクチンを接種した人と同じくらいの頻度で起こることが分かり、子宮頸がんワクチンによる直接的な因果関係があるという証明はされていません。
大切なお子さんの未来を守るために、子宮頸がんと子宮頸がんワクチンについて、考えてみませんか?
ワクチンスケジュール
当院で採用している子宮頸がんワクチンはシルガード9です。
シルガード9に含まれる9つのヒトパピローマウイルス(HPV)型により、日本人の子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします。

※自費となりますが、男の子も接種可能です。