ゆういち院長は、エコー検査を診療に積極的に取り入れており、早期診断に役立てております。
エコー検査はリアルタイムに病変を抽出でき、負担も少なく、さらに患者様にもわかりやすく説明できる利点があります。また、レントゲン写真の放射線被爆も回避でき、
最近では副鼻腔炎の診断にもエコーの有用性が報告されております。
早期診断に有用であった症例を少しご紹介いたします。
当院小児科外来での自験例です。
エコー診断の凄さを、少しでもお伝えできればと思います!
*8歳 女児 劇症型心筋炎 心停止 ECMOで救命
8歳の女児。前日、咽頭痛を訴え、溶連菌迅速検査陽性でした。抗生物質を処方し帰宅しましたが、
翌日も38度台の熱と、全身倦怠感があるとのことで、再受診いただきました。
心雑音もなく、やや頻脈と四肢冷感を認めたため、心臓のエコーを施行しました。
心機能は FS 28%と保たれており、弁逆流や心嚢液もなく、心臓の動きも悪くありませんでした。
しかし、エコーをよく見てみてください!
異常なし、と思うでしょう・・・しかし、心電図モニターを見てください!
モニター心電図の波形が、変です!QRSが幅広く、変です!
そこで、大至急、12誘導心電図をとったところ、
V1-V3でブルガタ心電図様の異常な心電図波形が!
心筋炎の発症初期と考え、手稲渓仁会病院に救急搬送しました。
入院当日の夜、不整脈悪化、心停止となり、心肺蘇生後、ECMOで救命してくださり、後遺症なく退院しました!
渓仁会病院の先生方、ありがとうございました!感謝の気持ちで一杯です。
*3歳 発熱7日目!
重症肺炎+胸水+胸膜炎!
3歳の男児。 近くの小児科で発熱1日目にアデノウイルス検査陰性。❝かぜですね❞と風邪薬処方されました。しかし、高熱が6日続いたので、再度受診しましたが、胸の音もきれいで、❝肺炎はありません!あとひといきですね❞と言われたそうです。しかし、採血検査もなく、レントゲンも撮らず、処方も変更なし。翌日も39度の熱がでて、発熱 7日目に母が怖くなって、当院を受診されました。
肺の聴診だけでは、肺炎を見逃すこともあります!。エコーで児の左下の肺野をエコーしてみると・・・
分かりにくいですが、胸膜に炎症があり、胸水が少量認められました。
レントゲンでは、予想通り・・・
左下肺が真っ白になり、肺炎像があります。白血球増多、CRP高値を認め、二次性の細菌性肺炎を併発していました!! ❝あとひといき❞では、決してありません。さらに重症化しています。
エコーは胸膜炎、胸水の存在も見逃しません! 当院で外来にての抗生剤点滴2日間で治癒しました。
*3歳 女児 右足の付け根の痛み。
整形外科で異常なしの診断!
右化膿性股関節炎!
3歳の女の子。右足の付け根の痛みと37度台の微熱を訴え、TS病院整形外科を受診。
レントゲン、採血検査で異常なく、翌日小児科を受診するように言われたそうです。
当院受診時には、歩けなくなっていました。エコーで、右股関節に隔壁を伴う膿瘍を認めました。
化膿性股関節炎が疑われ、早急に医療センター小児科に紹介入院となりました。
化膿性股関節炎は起因菌が黄色ブドウ球菌では、重症化しやすいためエコー診断がとても役立ちました。
MRI撮影の前に外来で疑えるところがエコーのすごいところです!
*生後3か月 2か月前から腹部膨満で小児科4軒目!
直腸拡張とおしりにくぼみが!
潜在性二分脊椎や低位脊髄円錐症、脊髄係留症の疑い!
生後3か月の児。腹部膨満で小児科3軒を受診。
しかし、腹部レントゲン、肛門所見などとらずに、経過観察。
当院では、エコーで直腸拡張(直腸膀胱障害)を認めました。
しっかりと、おしり、肛門の診察を行いました。
すると、
おしりにくぼみと、亀裂が!これは、潜在性二分脊椎により、
直腸膀胱障害があり、直腸が拡張していた可能性が・・・・
エコーで、生後3カ月までなら、脊髄も見えます!
このように、MRより先にスクリーニング的に脊髄、二分脊椎、
脂肪腫などの観察ができるのです!
このように脊髄円錐の先端が、第3腰椎まで伸びているのは、
異常です。身長が伸びると神経が引っ張られて足の神経障害・歩行障害がでかねません。
本症例も、見えにくいですが、腰椎3番目まで脊髄円錐の先が伸びています!
精査のために、すぐに医療センターに紹介しました。
脊髄係留症候群にならないことを祈ります。
エコーは、MRIをとる前のスクリーニングに役立ちます!
*生後 41日の赤ちゃん 頻回の嘔吐と便秘
前医で異常なし。 肥厚性幽門狭窄症だった!
生後41日の男の子。 5日前から嘔吐と便秘を認めたため、近くの小児科で
レントゲン異常なしで帰宅。翌日、やはり嘔吐するとのことで受診されました。
エコーで胃の出口の幽門部が狭窄して通過障害をおこしていました。
北大小児外科に緊急入院となりました。
胃の出口の幽門部が狭窄する病気です。生後1か月前後にみられます。
胃の出口が肥厚して詰まっています。嘔吐の原因です。
これは、なかなかエコーでも描出しにくので、腕の見せ所です。
*10歳 突然の左睾丸の痛み、腫脹、発赤が進行していく!
睾丸捻転ではなく、精巣上体炎!
10歳の男の子。 2日前より左の睾丸が痛み出し、腫れてきたと受診。
もし、睾丸がねじれる睾丸捻転なら、精巣壊死で睾丸摘出の必要が!
正直、私もこれはヤバい、、と緊急エコーしました。
すると、睾丸に炎症、捻転はなく、睾丸の上にある精巣上体という部分が腫れていました。
これは、睾丸を摘出する必要はなく、内科的治療で治ります。
睾丸捻転ではなくてよかった。。。
エコーの診断は迅速で有用です!
睾丸の上の精巣上体が腫れあがっています!
精巣上体がはれて、周囲に水腫も認めます。
手稲渓仁会病院に緊急紹介しました。
睾丸のエコーは、捻転の有無が判明できて有用です。
睾丸のエコーができる小児科医は少ないと思います
*6歳 強度の腹痛! 小学生の腸重積だった!
腸重積は生後6カ月から2歳頃に頻発する、お互いの腸が重なりはまってしまう病気ですが、
小学生以上では、めったにありません。
しかし、悪性リンパ腫や腸ポリープ、メッケル憩室などの基礎疾患があると
腸重積になることかあります。
6歳の男の子。強度の腹痛で受診。虫垂炎は否定されましたが、肝臓の奥深くに
腸重積を認めました。浣腸しても血便はでなかったので、エコーで早期診断できました。
渓仁会病院に緊急入院となりました。これは、エコーの早期診断が患児を救いました!
何か、基礎疾患があると思われました。
*生後5か月 急激な右首の腫れ
リンパ管腫(リンパ管奇形)
進行すると、気道圧迫し窒息の可能性も!
生後5か月の児が、2日前から急激に右首が腫れてきました。
受診時は、頸部リンパ節腫脹から始まる川崎病?かと思い、エコーしたところ、
上部に隔壁を伴う液体が貯留しており、腫瘤も3×4センチと巨大でした。
リンパ節というよりは、リンパ管腫が疑われ、医療センターに紹介しました。
おそらく、リンパ管腫から出血しており、急激に巨大化していました。
これ以上巨大化すると、気道を圧迫し窒息の危険もあり、早期に紹介できました。
エコーはすごいと思いました。
*7歳 女児。半年以上持続する腹痛。
アレルギーによる、好酸球性腸炎だった!
7歳の女児。半年以上持続する腹痛で受診されました。前医では便秘と診断されていました。
エコーをすると、膀胱の後ろ側に腹水を認めました。
北海道医療センターに紹介したところ、好酸球が20%で好酸球性腸炎と診断されました。
アレルギーによる腹水で、抗アレルギー剤(ロイコトリエン拮抗薬)で改善したそうです!
半年以上も苦しんでいたそうで、大変感謝されました。
エコーは腹水も見逃しません!
*2歳 女児 半年以上持続する、慢性腹痛
膀胱の背面に、卵巣嚢腫?重複腸管?
2歳の女の子。時々腹痛を訴えるとのことで、受診。当初は便秘かと思いましたが、
何度も症状を訴え、受診されるので、膀胱の背側までしっかりとエコーしました。
なんと、膀胱の後ろに5センチ×3センチの巨大なものが!
腹痛も侮れないですね。
重複腸管? 卵巣嚢腫?
医療センターに紹介し、腸間膜嚢腫という腫瘍でした。
放置しておくと、腸重積や腸閉塞になる可能性もありました。
こどもっくる外科に紹介となったそうです。
早期発見できてよかった!!
レントゲンにも写らなかったので、エコーがなければ
原因不明の腹痛が持続するところでした・・・・
*4歳女児 残尿感。 膀胱の壁が肉柱のようになっていた!
常に残尿感があるとのことで来院。
膀胱の壁がボロボロになり、肉柱形成していました!
こどもっくる泌尿器科に紹介させていただきました。
壁がボロボロです・・・・
*4歳 女児 腹痛
膀胱の背部に、腹水??
4歳の女の子、持続する慢性腹痛で来院。
なんと、膀胱を横からみると、膀胱の壁が隆起しており、
腹水のようなものが貯留してました。
医療センターに紹介し、精査中です。
*5歳 男児 強い腹痛、嘔吐、下痢 元気なし。
前医で❝おなかのかぜ(ウイルス腸炎)❞ の診断!しかし、
エコーで腸管の浮腫が強く、サルモネラ細菌性腸炎を疑う!
5歳の男の子が、強い腹痛、頻回の嘔吐、下痢。
前日、近くのクリニックでただの❝おなかの風邪❞と言われたそうです。しかし、腹痛も強く
顔色も悪く、当院にセカンドオピニオンで受診。早速エコー施行。
虫垂炎の所見は認めませんでしたが、横行結腸、下行結腸の粘膜浮腫が強く、❝ただの食あたり❞ではないな、と思いました。
サルモネラ菌やカンピロバクターなどの食中毒のなかでも強い菌に思えました。
便の培養検査を行い、元気もないので医療センターへ入院紹介しました。
予想は的中しました、入院翌日、当院で施行した便培養からサルモネラO4が検出され、医療センターに連絡しました。卵などから出る菌です。
原因を検索することは重要です。エコーで細菌性腸炎を診断し、見事的中しました!
腸が❝たらこ唇❞のようにむくんでいます。
横行結腸も粘膜浮腫が強く、細菌性腸炎が疑われました。
直腸粘膜も浮腫が強く、大腸全体がやられています。
これは、腹痛や下痢がひどい症状と一致します。
ただのお腹の風邪ではありません!
*5歳 溶連菌感染症で発熱 8日目!
別のクリニックで、溶連菌陽性で、ペニシリン系抗生剤を10日分処方されましたが、40度近い発熱が8日間持続し、セカンドオピニオンで来院されました。
頸部と、鎖骨周辺のエコーをすると、
黒豆みたいのがリンパ節です。その周囲に白あんのように白く見えるのが、炎症が周囲に波及しているものです。この炎症の波及を見ただけで、入院による抗生剤点滴治療が必要であるほど重症であることを示唆しています。CRP高値、白血球高値で重症でした。溶連菌による化膿性リンパ節炎です。
たかが、溶連菌、されど溶連菌です・・・・・あなどれない・・・・医療センターに入院紹介し治癒しました。
*9歳 女児 イクラを食べて、強い腹痛!
9歳の女の子が、イクラを沢山食べて強い腹痛を訴えました。普段はイクラを食べられるそうですが、
今回は、丼ぶりにあふれんばかりの大量のイクラを食べたそうです。
これは、小腸なのですが、小腸の粘膜が肥厚しています。アレルギー反応による肥厚です。
胃腸炎では下痢便が見えますが、今回はただ浮腫んでいます!これは痛そう・・・
エコーで腹痛の原因は、イクラ大量摂取によるアレルギーと診断しました。
食べすぎ注意ですね。エコーの診断力を発揮しました!
*1歳 女児。卵巣ヘルニア!
他院で鼠経ヘルニア(腸)と診断され、帰納させようと押して戻そうとされたそうです。。
押して戻してはいけない!腸ではなく、卵巣ヘルニア!!でした。
卵巣ヘルニアは、腸ではないので、押すと卵巣を損傷させることもあり危険です。
エコーでヘルニアが卵巣であることがわかり、血流もあり即小児外科紹介しました。
ヘルニアがすべて腸とは限りません!
腸のような蠕動運動がなく、卵巣でした。幸い血流が保たれていました。
エコーは役に立ちます!
*3歳 女児 右腹部痛。
抗生剤による偽胆石!
3歳の女の子が、点滴による抗生剤治療(ロセフィン)をうけた翌日、右上腹部痛を訴えました。
エコーでは、胆のうに光る胆石が見えました。しかし、流動性もあり、ロセフィン治療による偽胆石と思われました。外来でよく使用する抗生剤ですが、このような副作用にも留意すべきと思いました。
翌日には、胆石は消失していました。
胆のうに後方エコー増強する胆石が見えます。
流動しており、小さめです。
*2歳 男児 大動脈二尖弁 エコーで偶然の発見!
2歳の男の子が、外来で川崎病を疑い大動脈弁のエコーをしたところ、
普通は3つの弁でできている大動脈弁が2つでできている二尖弁であることが判明しました。
小児期は無症状なことが多いのですが、50-60歳台で弁の狭窄や逆流を生じ、
心不全で発見されることもあります。武田鉄矢さんも二尖弁で弁置換術をされています。
特に、抜歯などの際には、感染性心内膜炎予防の抗生剤投与が必須です。
人生100年を考えると、知っていて決して悪くない疾患だと思います。
偶然発見されましたが、今後心臓定期検診を受けて、症状が出た場合は
早期に治療し、元気に
100年の人生を歩んでほしいと思いました。
*8歳 女児 おたふく?
コロナ感染後のMIS-C(ミスシー)
小児多系統炎症症候群だった!
3日前から右耳の下が急激に腫れてきました。熱もなく、おたふくかぜを疑い来院されました。
私も、診察室に入ってきた瞬間に、❝おたふくだな❞と思いました。
しかし、エコーをあててみると、耳下腺は腫脹しておらず、下のように、たくさんのリンパ節がゴロゴロしていました。おたふくでも周囲のリンパ節が腫れることがありますが、さすがに腫れすぎだなあと思い、血液検査をしたところ、白血球増多14,700 CRP7.6 と上昇。アミラーゼは正常でした。
熱はないですが、化膿性リンパ節炎、川崎病、組織球性リンパ節炎を疑い、医療センターに紹介入院となりました。
あやうく、❝おたふく❞と誤診するところでした。エコーに助けられました!
入院翌日、発熱、眼球充血を認め、コロナ感染後に川崎病に類似した病気❝MIS-C❞だったことが判明したそうです!
*生後2か月 大泉門大きめ? 脳室拡大あり。
脳梁欠損症?
生後2か月の児が、大泉門が大きめとのことで頭のエコーをしたところ、
脳の中の部屋(脳室)に左右差がありました。
さらに、やや脳室も大きめでしたので、北大小児科に精査をお願いしました。
脳梁欠損症も疑われ、今後、発達に異常がでないことを願います。
*生後7か月 1か月前から左胸にイボ?
黄色肉芽種! 家族性高コレステロール血症が疑われる!
生後7か月。1か月前から左胸に黄色みを帯びた腫瘤を認め、近医を受診されましたが、
よくわからない。イボかな?と言われ、当院を受診。
明らかに黄色味を帯びており、黄色肉芽種を疑い、斗南病院紹介。翌月切除予定となりました。
しかし、
それだけで終わってはいけません!なぜ、黄色い腫瘤ができるのか?
もしかしたら、家族性高コレステロール血症があるのではないか?と思い採血。
児のコレステロールは、238 悪玉LDLは 182>140と異常に高く、
医療センター代謝科にご紹介しました。
遺伝性なので、ご両親、祖父母の心筋梗塞も予防できます。本人も10歳から治療すれば、長生きできます!
5-6ミリ大の黄色い腫瘤があります。
*1歳女児
おへそが真っ赤になり、ジクジクと液体がでてきた・・・
膀胱とお臍が交通している、
尿膜管遺残の可能性が
1歳の女の子が、お臍がジクジクして、液体がでてきていると。
これは、先天的におへそと膀胱が交通している、尿膜管遺残という病気の可能性があります。
放置しておくと、成人になってお腹に膿が溜まり、腹痛の原因となります。
フィギアスケートの羽生結弦君も、競技中に腹痛を訴え入院し、この病気でした。
お臍の中心から液体が出ており、化膿して真っ赤です。
生まれつき、膀胱とお臍がつながって、尿がお臍から出てきます。
おへそが化膿して炎症をおこし、さらに臍から下に交通しているように見えます。
医療センターに紹介しました。
*6歳 男児。 突然の右の股関節痛! 歩行障害
単純性股関節炎
6歳の男児。右股関節痛を訴え、整形外科受診。成長痛と言われました。
しかし、エコーしてみると、右股関節に水が貯留しており、股関節炎が疑われました。
初診時の股関節です、右に黒く水が溜まっています。
3日後、発熱、症状悪化し、医療センターに紹介しました。
水腫が増加しています。
*14歳 3年前からの食後の嘔吐、
食後の腹痛、下痢
上腸間膜動脈症候群、左腎静脈の拡張
上腸間膜動脈症候群とは、十二指腸の水平脚が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれて
圧迫されて、食物が通過せず、食後の腹痛や、嘔吐を呈し、低栄養になる疾患です。
太い大動脈と黄色で示した上腸間膜動脈との間に
十二指腸が挟まれて狭窄し、食後の腹痛、食欲不振を呈します。
14歳の女子。3年前から食後の腹痛を認め、3食まともに食べられず、受診。
他院では、異常なしと言われていたそうです。
エコーしたところ、上腸間膜動脈と大動脈の距離が5ミリ(正常8ミリ以上)しかなく、
腎静脈も拡張しており、やはり狭窄が認められました。
次に、上腸間膜動脈と腹部大動脈のエコーです。
これでは、3食たべられないのもうなづけます。
医療センターに紹介しました。
*4歳 男児 難治性重症喘息??咳の原因は、
喘息だけではなく、胃食道逆流があった!
4歳の男の子。生来、重症喘息と診断されて、ステロイド吸入などをしていましたが、毎晩せき込み、嘔吐も見られました。小児科を3-4軒受診しましたが、どんどん薬が強くなり、吸入器も購入。
それでも、幼稚園に月に半分もいけないとのことで、当院を受診されました。
まず、当院の診断は重症鼻副鼻腔炎を合併した気管支喘息でした。しかし、副鼻腔炎を治療しても、せき込み嘔吐がまだ残存するとのことで、胃食道逆流を疑いました。咳嗽の原因になります。
胃食道逆流があると、せき込みの原因になります。
これを、エコーでみてみると・・・・
医療センターに紹介し、消化器内科から逆流を抑える漢方薬、胃酸分泌抑制剤
を内服併用することで、夜間のせき込み、嘔吐が消失したそうです。
難治性喘息には、胃食道逆流も少なからず認める児がいます。
エコーで診断の一助になりました。
*5歳 頻回の嘔吐 胃の❝タイヤ❞サイン?
5歳の男の子、朝から頻回に嘔吐で受診。エコーしてみると、
胃の筋肉が厚くなり、肥厚しており、まるでタイヤの様です。
これは、ウイルス性腸炎などで、胃が十二指腸にあまり消化物をすぐに流さないように
して、体内に小腸への吸収を遅らせる防御反応をしているのです。逆に嘔吐させて異物を
外に出そうとしています。しかし、あまりに嘔吐が頻回になると脱水にもなってしまいます。
この児への指導として、胃の流れがゆっくりなので、少しずつ補水することを指導しました。
なるべく点滴にならないように・・・・翌日、嘔吐が減り、タイヤサインが輪ゴムサインに変わりました!
これで吐きません。
タイヤのようです!
翌日、再受診していただいたら、
輪ゴムのように、胃の筋肉層が薄くなっていました!これで飲めますね。
点滴しなくても大丈夫です!
*1歳 女児 長引く下痢
回腸末端のシュシュサイン?
1歳の女児が1週間以上続く、下痢で受診されました。ノロ、ロタ、アデノ便抗原陰性でしたが、
回腸末端部がシュシュのようにむくんでいました。
これは、胃腸炎の後期の所見で、腸が回復に向かって頑張っている所見です。お母さんには、
あと一息で治りそうですよ。腸は頑張っていますよ。
どんどん栄養を取ってください、と説明できました。
*1歳 女児 1週間以上持続する下痢
芋虫サイン!
Klebsiella oxytoca
(クレブシエラ)腸炎!
1歳の女児。1週間以上下痢が持続。ウイルス性腸炎かな?と受診されましたが、
下行・直結腸の粘膜がむくんでおり、まるで芋虫?のような画像です。
便培養検査から、Klebsiella oxytocaが2+検出されました。
これは、抗生剤使用後などにみられるクレブシエラ腸炎で、血便を呈することもあります。
抗生剤中止で治癒しました。エコー診断により、今まで曖昧であった下痢の原因がわかりつつあります。
芋虫が2匹いますね・・・・
下痢の原因は、いろいろありますね・・・・
*6歳 腹痛 イレウス キーボードサイン!
6歳の男が発熱、腹痛で受診。腹部膨満を認めました。
エコーでは、小腸の動きが悪くなりイレウスをおこしていました。
小腸が拡張し、小腸(空腸)の襞がみえる、キーボードサインを認めました。
これは、重症であることを示すサインです。機械的イレウスが疑われます。
普段はキーボードサインは見られません。
小腸のヒダが見えます。
キーボードサインといわれます。イレウスの所見です。
*8歳 女児 発熱、腹痛 ナマコサイン!
8歳の女の子。回腸末端部がむくんで、ナマコのようになっています。
これは、私が勝手に名付けた ナマコサイン。
特に水物や海産物などでの食あたり(エルシニア腸炎)にみられます。
3日前に回転ずしでたくさんの食材を食べたそうです。
回腸末端が、浮腫+リンパ節腫脹でナマコのように・・・・
*3歳、頸部リンパ節が急激に腫れてきた!
3歳の男の子。3日前から首の腫れを認め、前医を受診。
かぜのリンパ節炎として、抗生剤処方で帰宅。
しかし、急激に腫れ、熱も下がらないので当院を受診しました。
円形の周りの組織が白っぽくなるほどの炎症が波及。
医療センターに紹介し入院となりました。
リンパ節が黒く、円形をしています。
さらに、周りが白くなり炎症の波及を認めます。
楕円形よりも円形のリンパ節は、
悪性リンパ腫の鑑別も必要となります。
おそらく感染性の良性と思いますが、精査が必要です。
*5歳 男児 転倒し、右ひじ強打 骨折?
5歳の男の子が転倒し、右ひじを強打したそうです。翌日受診されました。
腕は腫れていましたが、骨折があるかどうかは不明でした。
エコーで、右ひじの骨折は認めませんでしたが、周囲組織の浮腫を認めました。
湿布を処方しました。 ひびなどなくてよかったです。
*11歳 男児 突然の右睾丸の腫脹と痛み!
睾丸捻転??
11歳の男の子が朝から急激に右の睾丸の腫れと、痛みを訴えて来院。
一番見逃してはいけないのが、睾丸が捻転し虚血になる睾丸捻転です。
放置すると、血流がいかなく無くなり、睾丸が壊死し摘出しなければならなくなる、
とても緊急性の高い疾患です。
まず、腫れた睾丸を見ると・・・
右側が左に比べて腫れてました!
右側の睾丸(精巣)の血流、捻転してないか、カラードップラー、軸を評価しました。
すると、
軸も正常で、ねじれはなく、血流も保たれ、捻転は否定的でした。
最終診断は、精巣炎で泌尿器科紹介し経過観察で治癒しました。
捻転ではなくてよかった!
*おたふくかぜと反復性性耳下腺炎
おたふく(流行性耳下腺炎)は隔離や出席停止が必要な感染症ですが、
反復性耳下腺炎は、細菌感染などにより耳下腺が腫れます。両者は外見からは区別が難しいです。
しかし、エコー検査では所見によりある程度鑑別可能です。
おたふくかぜでは、耳下腺の腫れがチーズのように白くペットリしていますが、
反復性耳下腺炎では.....
ぶつぶつと、小嚢胞構造物が見えます。
*3歳 耳下腺の腫脹と、左頬の発赤、圧痛
耳下腺炎+頬の細菌感染(蜂窩織炎?)
3歳の男の子が、朝から急に左のほっぺたが真っ赤にあり、痛いとのことで
受診されました。
確かに頬っぺたが赤く、熱も持っていました。
耳の近くの頬の外側が発赤しています。
頬の部分に小嚢胞構造物が見られます。
耳下腺にも、小嚢胞構造物が見られ、
耳下腺炎が見られます!
耳下腺周囲のリンパ節も腫れています!
炎症が、頬、耳下腺に波及していたため、
医療センターに紹介させていただきました。
エコーは、炎症の中身が見られる利点があります。
*5歳 男児 10日前に首が腫れたが、おたふく?と前医で
言われそのまま放置!
巨大化膿性リンパ節炎!
5歳の男の子。10日前に首が腫れて前医を受診。インフルエンザ陰性で、おたふくかな?
と言われ、そのまま放置。以後もどんどん大きくなり、当院を受診。
おたふくではなく、巨大リンパ節炎で、内部が隔壁を伴い重症化していました・・・
早期に診断していれば、首の腫れがリンパ節であることが分かったのに・・・
相当、腫れています!
内部がドロドロになっています・・・・
隔壁を伴い、化膿性のリンパ節炎です。
川崎病とは異なる所見です。
医療センターに即入院となりました。
*2歳 右眼アデノウイルス結膜+細菌感染!
眼球周囲、眼瞼腫瘤の蜂窩織炎!
2歳の女の子がアデノウイルス結膜炎に罹患後、発熱と急激な眼瞼の腫脹を認め受診。
出血を伴う腫脹でした。
瞼が出血して、腫れています!
エコーをしてみると、眼球内に瞼からの腫瘤と、
右眼組織周囲の浮腫・炎症を認めました。
これは、ばい菌が繁殖して眼球周囲にまで及んでいることが考えられました。
蜂窩織炎です!
エコーは眼の中も写ります!
手稲渓仁会病院に時間外でしたが、緊急入院となりました。
ありがとうございました!
*ノロウイルス胃腸炎(ウイルス性)と細菌性腸炎(サルモネラ食中毒)
ノロウイルスなどのウイルス性腸炎は、主に小腸粘膜肥厚と腸液が観察されます。
❝蜂の巣サイン❞と呼ばれています。下痢症状の出現前にもエコーで所見が見えます。
一方、サルモネラ、カンピロバクター腸炎などの細菌性腸炎は、
上行結腸などの大腸粘膜肥厚、回腸末端炎の所見が認められることから、ある程度区別できます。
下の2枚エコー写真はサルモネラ腸炎(上)カンピロバクター腸炎(下)で見られた、
上行結腸・横行結腸粘膜肥厚の所見です。
粘膜が腫れてタラコ唇のようになっています・・・
*虫垂炎(10歳女児)
嘔吐と強い腹痛で来院されました。
虫垂が腫れて、虫垂石、周囲の脂肪組織が炎症で白く見えます。
即日手術となりました。
*O-157感染による血便児の直腸粘膜の肥厚所見(1歳女児)
腹痛と血便を主訴に来院されました。
直腸の粘膜がむくんで、肥厚している所見です。
正常では肥厚していないので、直腸粘膜が激しく損傷しているのがわかります。
その後、血尿を認めHUSを発症しました。
*間欠的腹痛(夜間)を主訴に来院した水腎症(10歳男児)
夜間にのみに毎日腹痛を訴える児で、おしっこが溜まると間欠的に水腎症となり、
腹痛の原因となっておりました。泌尿器科に紹介いたしました。
*ミルクアレルギーによる小腸粘膜の肥厚所見(生後5か月女児)
嘔吐、血便、不機嫌で来院されました。
小腸粘膜の肥厚所見を認め、採血検査と合わせてミルクアレルギーと診断しました。
食物アレルギーのお腹の中の反応がリアルタイムで観察できました。
症状の改善とともに肥厚は改善しました。
*食物アレルギーすべてがエコーで分かるわけではありませんが、
腹痛・血便などの症状がでた場合は、参考所見の一つとなります。
*激しい腹痛 便秘 5歳男児
お腹を強く痛がっており、心配しましたが、便秘でした。
膀胱の下に便が溜まり、膀胱を押し上げています。
浣腸で排便後、痛みは無くなり帰宅されました。
*心臓腫瘍(新生児)
心臓の心室の中に白く光る腫瘤(腫瘍)が認められます。
スクリーニングエコーで偶然発見されました。
さらに、脳のCTにて、石灰化を認め、難病の結節性硬化症の診断にいたりました。
*左先天性股関節脱臼(生後1か月)
左の股関節ですが、骨頭がやや外側にずれています。
北大整形外科にご紹介し、早期にリーメンビューゲル装具治療開始となりました。
装具は早ければ早いほど、完治への道につながります!早く発見できてよかった!
*胆道閉鎖症と、胆道拡張症(それぞれ生後1か月)黄疸で来院されました。胆のうが描出されず、
肝門部門脈域の不整高輝度化を認め繊維化していました。
翌週に北大で葛西手術となりました。
こちらは、エコー検査で偶然発見された、胆道拡張症の児です。
胆道が大きく拡張しています。
*肝血管腫(新生児)
肝臓内に円形の腫瘤病変を認めました。
精査の結果、良性腫瘍の肝血管腫でした。良性でよかった!
*腸重積(生後5か月)
嘔吐と不機嫌で来院。 血便は認めませんでしたが、
エコーでmultiple concentric ring signを認め、腸重積と早期に診断できました。
2次病院に紹介し容易に整復できました。
この症例のように、腸重積も血便が出る前から早期に診断可能な点がエコーの利点です。
*アレルギー性紫斑病(IgA血管炎) 3歳男児
強い腹痛で来院されました。虫垂炎を疑うほどの腹痛でしたが
虫垂腫大は認めず、腹痛の原因が不明で診断に難渋しました。
しかし、
エコーで十二指腸壁の肥厚と、回盲部の肥厚
(マッシュルームサイン)を
認めたため、アレルギー性紫斑病を鑑別に疑い2次病院へ紹介したところ、
入院翌日から下腿に紫斑が出現し、
IgA血管炎の診断に至りました。
ステロイド剤治療で軽快しました。
*伝染性単核球症
(胆のう壁の肥厚)2歳男児
高熱の持続、食欲不振で来院。
エコーで胆のうの壁が肥厚しており、
肝機能障害を疑いました。
血液検査施行したところ、
AST 456 IU/l ALT 352 IU/L
と肝酵素の上昇と異形リンパ球を多数認めました。
最終的には、EBウイルスによる伝染性単核球症の診断に至りました。
エコーにより肝機能障害を疑うきっかけとなりました。
*鎖骨下リンパ節腫脹(11歳 男児)
11歳の男児。右鎖骨下の腫れを主訴に受診されました。
リンパ節が数個腫脹していました。
大学病院での精密検査から、ホジキンリンパ腫の診断でした。
化学療法で軽快したそうです。よかった!
*右睾丸腫脹(5か月 男児)
生後5か月の男の子が右睾丸の腫れを認め、受診されました。
右の石のようなものが精巣で、左側に水が溜まっていました。
陰嚢水腫ではなく、精索水瘤でした。将来、鼠経ヘルニアへの合併も考慮し、
泌尿器科に紹介しました。
*白血病による脾腫と心肥大(2歳 男児)
エコーで脾臓の腫れを認めました。同時に心臓の壁も肥厚していたことから、
貧血などの血液疾患を疑いました。
すぐに血液検査を行ったところ、貧血・白血球増多を認め、白血病を疑い、北大病院に緊急紹介しました。。
北大病院で急性リンパ性白血病の診断となりました。エコーが血液疾患を疑うきっかけとなりました。
脾臓が腫れています!
心臓の壁が厚くなっています!
貧血による代償性肥大を認め、白血病を疑えました!
*菊池病 (11歳 男児)
他のクリニックで7日高熱が続き、セカンドオピニオンで受診されました。
頸部リンパ節が多数累々と腫れています。
エコーですぐに❝ 菊池病かもしれない ❞と思い、医療センターへ紹介。
菊池病の診断でした。
*2歳 エルシニア腸炎
発熱と水様性下痢が続く、とのことで来院。
回盲部のリンパ節がうずらの卵並みに腫れており、上行結腸の浮腫もあり、細菌性腸炎を疑いました。
後日、便からエルシニア菌が検出されました。
*夜尿症 8歳男児
他院で夜尿症の治療を受けている児です。一般的な四角い膀胱ではなく、下部がやや細くなっており、
膀胱容量がやや小さいことが、夜尿の原因の一つと思われました。
*重症鼻副鼻腔炎 2歳男児
2か月間、夜間と朝方の咳があり、他院での内服では改善しないとのことで、
受診されました。他院では、喘息かも?と言われたそうです。
しかし、これまで喘鳴も認めたことがなく、アレルギー素因や家族歴もありませんでした。
副鼻腔エコーをすると、
特に、左の副鼻腔に塊ができるほど、鼻が詰まっていました。
当院の鼻副鼻腔炎の治療で、10日で完全に咳が消失しました!
*IgA血管炎の腹痛の事前予測が可能であった5歳男児
5歳の男児が、朝から下腿に紫斑が出現ました。IgA血管炎が考えられましたが、
腹部症状が出現するかの有無が、入院適応に重要です。
腹部エコーで、十二指腸の壁が厚くなり、浮腫を認めました。
この所見は、今後、腹痛、血性嘔吐などが出現する可能性が考えられました。
NTT病院に紹介し入院となり、翌日強い腹痛、血性嘔吐を認め、事前に重症化を予測できました!
十二指腸の拡張、粘膜肥厚を認めます!これは、IgA血管炎で間違いない所見で、腹部症状もでることが予想されました! 予測は的中しました!!
*10歳コーヒー残渣様、血性嘔吐、胃痛
10歳の児が、血性嘔吐、胃痛で来院されました。
エコーでは、胃粘膜第3層の肥厚を認め、AGMLと思われました。胃薬で治りましたが、
今後、再燃する場合は、ピロリ菌などの精査も必要と思われました
*馬蹄腎 生後11か月女児
生後11か月の女児が、尿路感染症に罹患しました。起因菌がKlebsiella oxytocaと比較的稀な菌だったので、しっかりと腎臓に奇形などがないかを調べました。すると・・・・
脾臓の近接に左の腎臓が見えません・・・よくみると下位にありました。
さらに、腎臓の下極が不鮮明です・・・もしかして、馬蹄腎?かもしれないと思いました。
医療センターに紹介したところ、二つの腎臓が下で融合している馬蹄腎だったのです!
尿路感染症の基礎疾患の検索は大事ですね。
医療センターのCT画像です。左右の腎臓が融合しています!
*4歳 男児 骨盤腎
腹痛精査のため、偶然発見されました。右の腎臓が骨盤の中にあり、真横に向いています。
腎臓機能は正常ですが、尿管奇形がないかを精査していただく予定です。
*4歳 女児 鼠経ヘルニア
4歳の女の子が、右の鼠径部の腫れを主訴に受診されました。
エコーでは、最初空洞が見えましたが・・・・
その後、ニョキニョキと、ヘルニアの腸がでてきました!へこんだり、出たりするのがリアルタイムで見えました。
北大小児外科紹介しました。
*3歳 女児 重症膀胱炎・膀胱膿瘍
頻尿意、頻尿で受診
膀胱の壁が厚くなり、尿の混濁も認め、菌の膿が貯留して層を形成しています!
膀胱偽腫瘍と思われましたが、ただの菌の塊でした・・・
私もここまでひどい膀胱炎は初めてでした・・・
*7歳 男児 発熱と急激な首の腫れ
組織球性壊死性リンパ節炎
7歳の男の子が40度の発熱と、急激な首の腫れと痛みで受診されました。
前日受診した他の病院では、湿布で返されたため、不安になり当院を受診されました。
首のリンパ節の腫れと発熱は川崎病の初期症状でもあるため、鑑別が大切です。
エコーでは、なんと4-5センチ大の沢山のリンパ節が集まった、多房性のリンパ節炎だということが
判明しました。これは、川崎病の初期症状の可能性、他の感染性リンパ節炎の可能性、
悪性リンパ腫の可能性などを考え、すぐに医療センターに紹介させていただきました。
精査の結果、リンパ節組織が一部壊死した、組織球性壊死性リンパ節炎が疑われました。
医療センターの先生方の迅速な診断・治療に感謝の気持ちで一杯です。
*5歳 男児 コロナ感染後に呼吸が苦しい・・・
前医のレントゲンでは異常なしと言われたが、縦隔腫瘍だった!
5歳の男の子が、3週間前にコロナウイルスに感染しました。その後、呼吸が苦しい感じがして、近くのクリニックでレントゲンに異常は認められず、気管支炎と診断されました。母が不安になり翌日当院を受診されました。
コロナ後の肺炎の遷延、もしくは心筋炎などを考慮し、心臓エコー検査、胸部レントゲンなどを検査しました。エコーでは、心臓機能に異常は認めませんでした。前医ですでに前日レントゲンをとっていましたが、再度撮影しました。すると・・・
肺炎・気管支炎は認めませんでしたが、何か違和感を感じました・・・・
左の横隔膜の位置がやや高いこと、左気管支の上部分に腫瘤が!!!すぐに医療センターに紹介しました。
2センチ大の縦隔腫瘍を認めました!!
呼吸苦とは無関係かもしれませんが、横隔膜が挙上していること、息を吸いづらいということはやや関係しているかもしれません。コロナ感染をきっかけに偶然発見された腫瘍です。早期発見できたこと、お母さんの観察眼に感銘を受けました。私もレントゲンをしっかりみることを再認識しました。基本は大切ですね。発見されなければ、どんどん巨大化していたかもしれません。恐ろしい・・・
合計2つの縦隔腫瘍を認めました。
医療センターの迅速の診断で、こどもっくる血液内科に転院されました。
その後、こどもっくるで外科手術を行い、2つの腫瘍を摘出し、呼吸苦は
改善したと、後日、母から聞きました。よかったですね!
*生後10か月 発熱持続、発疹、
川崎病??
生後10か月。女児。発熱4日目の採血検査では、白血球 6,400 CRP 1.0と炎症所見が低く、突発性発疹かと思いました(突発性発疹でも発熱が4日間になる例もあります)。しかし、心臓のエコー検査で心臓の周囲に全身炎症による心嚢液が貯留していました!
これは、川崎病による心膜炎の所見で、医療センターに紹介。川崎病の診断でガンマグロブリン加療されました。
治療後に心嚢液は消失したそうです。エコーは川崎病の診断にとても役立つことを再度認識しました。
*生後2か月
ロタワクチン接種の診察で心雑音??
生後2か月の児が、ロタワクチン接種で心室中隔欠損症が4ミリあり、自然閉鎖すると出生した病院で説明を受けましたが、フォローは必要とされました.
しかし、紹介された2次病院を受診せずに、2か月経過していました。当院でエコーしたところ、僧帽弁の逆流があり、心臓に負担がかかっていることがわかりました。欠損した穴から血流増加ありました、
肺への血流が増加し、RSウイルスなどの呼吸器感染症にかかると肺炎になりやすいので、
シナジスワクチン接種の適応も考えられ、医療センターに紹介しました。
*3歳 女児 1週間にわたる連日夜間の腹部激痛
卵巣捻転? 子宮の巨大化(肥厚)を認めました。
卵巣嚢腫もあり、子宮が成人の生理前位に肥厚していました。
脳腫瘍などからくる、性ホルモン分泌過剰で卵巣が腫大し、茎部が捻転している可能性もあり、
医療センター小児科・婦人科に紹介しました。
↓ 卵巣嚢腫も認められます。
*5歳 下痢・腹痛 ドーナツサイン!
5歳の男の子。下痢と1週間以上の腹痛で受診。
S状結腸にドーナツサイン!
これは、腸管のむくみをとらえており、
何らかの炎症(感染?)を認めている所見です。
ドーナツが2つ見えませんか?
*4歳 男児 血便、下痢 腸重積??
4歳の男の子が、下痢と血便で受診。エコーをしてみると・・・・
ターゲットサインのような円形の腸が見えました。❝腸重積かな?❞とも思いましたが、
横軸像をよく見てみると・・・
回腸末端が腫れて、キノコのように見えました。上の縦軸像は、キノコの頭の上からみた画像だったのです。これは、腸重積ではなく、細菌性腸炎による、回腸末端炎の所見でした。
発症前に、焼き鳥を食べたそうで、カンピロバクター腸炎が疑われました。
腸重積では、横断像で腎臓のようにみえる pseudo-kidney signが見えるので鑑別は重要です。